「00」の悲劇〜ファンブルの印象深さ

もう7月中旬になりましたが、5月末にクトゥルフ神話TRPGから2作のリプレイが出版されました。

るるいえシリーズは今作が10作目であり、もう定番とも言える作品ですね。以前の記事でも紹介していますが、内容は安定しているものの値段は相変わらずの高さであり、自分のような蒐集家はともかくとして普通の人がいきなり手を出すには躊躇してしまうんじゃないかと思います。
そうは言っても、niconicoなどを中心に今のTRPG界を制したクトゥルフなんですからもう少しリプレイに力を入れて欲しい、と思っていた所に新作のリプレイとして出版されたのが「セラエノ・コレクション」です。最近のラノベ系新書でよく見るB6サイズになり、何と言っても値段が約2/3になったことで、文庫ほどではありませんが手に入れやすくなったのはそれだけでも歓迎すべきだと思います。
その「セラエノ・コレクション」、内容を読まれた方は分かると思うのですが、こいつら「00」出しすぎじゃね、と感じた方は自分も含めて結構いると思います。それが、本当に「出しすぎ」ているのか気になったので、「セラエノ・コレクション」内で描写されたパーセンテージロールをすべてカウントしてみました。

以下はやや上記2書のネタバレを含みますので、お気をつけください。なお、計算方法については旧友のLucas氏から多大なるご指導をいただきましたが、仮に計算方法・結果が間違っていたとしても、私(しじゅうし)の理解力・知識が無かった故の誤りであり、あくまで責任は私にあります。




というわけで、「セラエノ・コレクション」内のすべてのパーセンテージロールをカウントした結果が以下になります。数え間違いがあるかもしれませんが、それはご容赦くださいませ。

カウント結果

PC名 総ロール数 「00」の個数
安針塚 58 1
千歳薫子 72 3
三ヶ森悠 65 0
亜木龍仁 65 1
KP 44 0
合計 304 5

※PLがNPCをロールした場合はKP(キーパー)分に入れてあります

予想通りかと聞かれれば予想通りではあります

という訳で、書籍全体で見渡した数字を見るとそこまで極端に「00」が多くなかったことが直感的にも分かるかと思います。計算してみたところ、304回のロールで「00」が5回以上出る確率は約19%ということで、そこまで珍しいわけではないですね。
また、実際のプレイをリプレイ形式に落とし込む段階で、省略が行われることは普通であることから、実際の総ロール数はこれの1.5倍から2倍程度あっても不思議ではありませんし、逆に「00」のファンブルが出た展開的においしい場面をわざわざ省略する可能性も低いことより、この事象が起こる確率としては実際にはもっと高くなることが予想できます。
という訳で、「セラエノ・コレクション」では確率的にそこまで珍しいことが起こっていたわけではなく、実際には「るるいえあかでみっく」で発生していた佐々原の、「1D3+1D4」が3回連続で2だったことの方がよっぽど珍しい(確率約0.06%*1ですね。

1話単体で見た場合は……

「セラエノ・コレクション」は全3話構成ですので、ちなみに1話単体での数字を見てみると、総ロール数94回に対し「00」4回でしたので、確率約0.08%と、上記の佐々原の事象と変わらないくらい珍しい数字となります。

「00」以外にも重要な要素が

実は「セラエノ・コレクション」には、「01」が出た描写が1回もありません。総ロール数304回で一度も「01」が出ない確率は約4.7%ですので、「00」5回以上よりも珍しい事象にはなります。ただ、SANチェックもとい正気度ロールでは特に「01」に意味を見出さないルール適用もあり得ますので、特記されていない可能性も十分にあると思われます。

*1:本編でのウロコを叩き割るのに必要だった4以上を4回連続で失敗する確率は約0.39%